はじめに
水仙は、冬の終わりから早春にかけて咲く可憐な花です。植えっぱなしでも毎年楽しめる丈夫な球根植物ですが、適切な肥料管理が重要となります。今回は、水仙の植えっぱなし栽培における肥料の選び方や与え方、注意点などについて、詳しく解説していきます。
水仙の肥料選びのポイント
水仙の生育に適した肥料を選ぶことが、植えっぱなし栽培で重要です。肥料にはさまざまな種類がありますが、水仙向けの肥料を選ぶにはいくつかのポイントがあります。
窒素分が控えめで、リン酸分が多い肥料
水仙は花が美しく咲くためにリン酸を多く必要としますが、窒素が過剰だと葉が伸びすぎて花の咲きが悪くなります。したがって、リン酸分が多めで窒素分が控えめな肥料を選ぶのがおすすめです。
例えば、マグァンプKのような、N-P-K比率が5-10-5程度の肥料がよく使われます。また、リン酸が豊富な牛糞堆肥などの有機質肥料も適しています。
緩効性肥料が適している
水仙は冬から春にかけて徐々に生育するため、一度に大量の肥料を与えるのは不適切です。緩効性肥料を選べば、長期間にわたって効果が持続するので、植えっぱなしのまま施肥できます。
化成肥料では緩効性入り、有機質肥料ではフスマ肥料やケーキ肥料などがおすすめです。これらは土に混ぜ込むだけで、長期間栄養を補給してくれます。
花が終わったら追肥を
水仙は球根が大きくなると良い花が咲きますが、花が終わると球根が消耗します。球根を肥大させるには、花が終わった後にも追肥が必要です。
花が終わった直後に、リン酸やカリ分の多い液体肥料を与えることで、球根に栄養を蓄えられます。また、液体肥料は与える量を調節しやすいので、過剰にならずに葉が枯れるまで施肥し続けることができます。
水仙の施肥のタイミング
肥料の与え方も大切なポイントです。水仙に適したタイミングで、適切な方法で施肥することが重要です。
植え付け時に元肥を施す
秋に球根を植える際、緩効性の元肥を土に混ぜ込んでおくと発芽後の生育が良くなります。化成肥料や有機質肥料のいずれかを用いて、土に十分な栄養を与えておきましょう。
元肥は球根の周りにしっかりと行き渡るよう、よく耕して混ぜ込んでおくことが大切です。元肥が偏ると生育に差が出てしまうので、均一に施すのがコツです。
発芽後から液体肥料の追肥を
発芽して葉が伸びてくると、球根の栄養が不足してきます。そこで、リン酸分の多い液体肥料を追肥として与えていきます。
追肥のタイミングは、発芽から花が咲くまでの間、およそ2週間に1回を目安としましょう。土が乾いたらたっぷりと与え、水はけを良くすることが大切です。
花が終わったらお礼肥えを
水仙は花が終わると、その年の栄養補給のピークを過ぎます。しかし、この時期にリン酸やカリ分の多い肥料をお礼肥えとして与えることで、次の年に向けた球根の肥大を促すことができます。
お礼肥えは1か月に1回程度、葉が枯れるまで続けましょう。液体肥料を土に吸収させやすいよう、適度な水やりも忘れずに行いましょう。
植えっぱなしの注意点
植えっぱなしで水仙を育てるときの注意点をいくつかご紹介します。長年楽しめる水仙栽培のために押さえておきたいポイントです。
3〜4年に1度は植え替えを
数年植えっぱなしにしていると、球根が密集し過ぎて花が小さくなってしまいます。そこで3〜4年に1度は球根を掘り上げ、分球して植え直しましょう。
植え付けの際は、元肥をしっかりと施し、球根を15cm以上の間隔を空けて植えます。このように管理を行えば、毎年立派な花が咲きます。
夏場は肥料はあまり必要なし
水仙は夏に休眠期を迎えるため、この時期に肥料を与えても効果は薄くなります。通常、花が終わって葉が枯れるまでの期間にしか肥料は必要ありません。
むしろ夏場は水分管理に気をつけましょう。高温で乾燥しやすいので、過湿にならないよう適度な水やりを心がけてください。
日陰を避けて日なたを選ぶ
日陰に弱い水仙は、開花時期になると日当たりを求めてつぼみを伸ばします。日陰の場所だと充分な日光が得られず、花が小さくなってしまいます。
植えっぱなしのため移動が難しい場合は、周囲の木の剪定などで日当たりを確保するよう心がけましょう。また花壇のレイアウトは日なたを選んで配置すると良いでしょう。
まとめ
水仙は植えっぱなしにしても毎年きれいな花が咲きますが、適切な肥料管理が欠かせません。窒素分が控えめでリン酸分が多い緩効性肥料を選び、植え付け時、発芽後、花後と、タイミングを見計らって施肥することがポイントです。また3〜4年に1度の植え替えも忘れずに行いましょう。
水仙は寒さに強く初心者にもおすすめの球根植物ですが、上手な肥料管理を心がければ、きっとたくさんの美しい花を楽しめるはずです。この記事を参考に、水仙の植えっぱなし栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。